ZEB Readyが当たり前の時代、新築の差別化はどこで付くか
公開日 更新日
大型再開発ではZEB Readyの取得が標準になりつつあります。省エネ性能で差が付きにくくなった今、デベロッパーが企画段階で押さえておくべき論点を、国内外の事例から整理します。
この記事の要点
- 再開発の新築オフィスではZEB Readyが前提条件になり、差別化要因ではなくなりつつある
- 海外の先進事例は、建物の技術基盤をブランドとして全物件に展開している
- 次の差は「竣工後に性能を出し続けられるか」で付く。その準備は企画・設計段階で決まる
ZEB Readyは「取って当たり前」になった
国内の大型再開発を見ると、内神田一丁目計画のような超高層オフィスでもZEB Readyを達成し、JR目黒ビルや東阪急ビル建替計画でもZEB Readyの取得が打ち出されています。
背景には制度の動きがあります。2025年4月から全ての新築に省エネ基準への適合が義務付けられ、国は2030年度までに新築の基準をZEH・ZEB水準へ引き上げる方針です。いま企画している物件は、竣工する頃には基準そのものが上がっている可能性があります。
海外は「技術基盤のブランド化」に進んでいる
欧州のEDGE Olympicでは、建物内の設備やセンサーを単一のクラウド基盤につなぎ、竣工後にサービスを追加できるようにしています。開発したデベロッパーは、同じ仕組みを手がける物件に共通して展開しています。国内でもビルOSの提供や、計画段階からのスマートビル化の検討が始まっています。
共通しているのは、省エネ性能を「竣工時の数値」ではなく「運用し続けられる仕組み」として示そうとしている点です。
設計時の計算どおりに運用で性能が出ないことは、珍しくありません。竣工後に性能を出し続けるには、次の3点を企画・設計段階で決めておく必要があります。
- 計測点の設計:用途別・系統別に電力と熱量を分けて計れるか。後から計測点を増やすのは難しく、効果検証の精度を左右します。
- データの開放範囲:中央監視からどのデータを外部に出せるかを、仕様書にポイントリストとして書いておくこと。書いていないと、竣工後にデータが取れません。
- 運用段階の体制:誰が性能を見て、改善を回すのか。管理会社の契約範囲に含めておかないと、設定は竣工時のまま放置されがちです。
資料:建物用途ごとの採用技術一覧
オフィス、商業施設、病院・福祉施設など、建物用途ごとにどの要素技術が使われているかを、技術レイヤー別に整理した一覧です。
関連する取り組み
本記事は公開情報に基づいています(2026年10月時点)。各事例の出典は事例ページに記載しています。